連載・手仕事レポート

久慈の実用の逸品 岩手県久慈 2009/5

2008年5月7日の手仕事フォーラムのブログで、岩手県久慈の横駄カゴのレポートが紹介されておりました。

 

ブログで紹介されていた写真

 

その紹介写真の中で、私の目が一瞬釘付になった箕のような笊のようなものがありました。
文章を読み進めてみると、「マタタビ皮と篠竹を編み込んだ箕があり・・・」とありました。
この事かと思い、写真をずーっと観察していたところブログの文章からそれが何であるか分かり始めました。

 

表面の全体

 

一部ブログの抜粋です。
「竹は黒く着色してあり、炭を塗り軽く炙るのだそうです。たぶん耐久性からではないかと考えました。作った本人は昔からのやり方だからとの理由でした。」
製品として作成した訳ではなく、仕事で使うために自家用の道具として作成したものだということが記されておりました。

 

粗野だがリズミカルな縁巻き

 

写真だけでも、粗野な感じから来る力強さ、実用から来るデザイン性は、とても美しいものと感じ、何とかそれを手にとってよく観てみたいと思い、久野恵一氏に連絡をしたところ手元にあるという事で、早速出向いて観賞させて戴きました。

 

黒く燻された竹を使用している

 

造りは確かに少し雑でしたが、そんなものを吹き飛ばすプリミティブな力強さと美しさが詰まっており、現代の生活にこれを使用することは難しいものの、手仕事の力強さ、美しさがこんな風に現れるところを体験できたのは大変貴重でした。
手仕事の伝統を表現するために、もう一つ、二つ造っていただけないだろうかと言うのが、私の贅沢な本音です。

 

裏側から観たところ

 

以下、その素晴らしさを写真で紹介いたします。実用から生まれた全体の粗野な美しさといい、虫よけと耐久性に黒く燻された竹を使用して自然な意匠が出来上がっているのが良く解ると思います。また、観賞できる美しさも備わっていることも追記しておきます。

 

階段脇に飾ったところ

 

手仕事フォーラム 北上 尚