■大福寺住職/太田浩史
不二門は、父・太田利雄が、道路拡張で取り壊される埼玉県川口市の長屋門を移築しようと、佐々木棟梁に相談して始まった事業です。ところが、父は昨年12月11日に心臓発作で急逝。その葬儀で私たちは、父の遺志を継いで一周忌までにこの門を建てようと決意したのです。
ありがたいことに、土地の人々、全国の方々の寄付があり、佐々木棟梁の技術と手仕事フォーラムの感性が合わさってこのような素晴らしい門が出来上がりました。私はこの門の姿に父の面影を感じるのですが、これは皆さんの力によって父の願いが姿となって現れたものだと思い、感謝しております。 |
■宮大工棟梁/佐々木利幸
移築は正直難しいです。しかし、先代の住職の熱い想いを形にしたい、そう思って取り組みました。
この門は、柱の大きさと本数、その構造には全く手をつけていません。屋根は北陸では瓦屋根が常識ですが、屋根の重みを軽減し雪の重さに耐えられるように、また、もともと茅葺だったのでより近いイメージにするため銅版葺きにしました。極端すぎると思える屋根の反りは、室町時代の社寺建築以前の屋根の形にしました。不二門の屋根は二層で珍しいと言われますが、東本願寺も屋根が二層です。
三方山に囲まれたこの地で、その山の雄大さと同じようにそびえ立つ門になったと思います。極楽浄土に住む美しい鳥「迦陵頻伽」のように大きな翼を広げて僕たちを迎えてくれる……先代の熱い想いをこの門に込めて形にすることができたと思っています。 |