久野:今、中川原さんの仕事の一番肝心なところです。モノには命となる部分があって、中川原さんは最後のフチ巻の仕事にかかっている。本来アケビのフチにはこういう巻き方はしなかったのだが、ザルブチ(=矢筈巻)という巻き方をアケビの口に応用したんですね。本来は返しブチというやり方だったのですが、民藝に関わった人たちからのアドバイスがあったのか、今、ヤマブドウなどもこの矢筈ブチ、ザルブチという巻き方です。フチの巻き方で上手い、下手がよくわかります。中川原さんのフチのまき方は、本当にしっかりしています。
今日は長時間ありがとうございました。この3年間、フォーラム会員と地域の方々が、公開フォーラムを通してお互いを支援しあうことをやってきました。手仕事フォーラムの側は、常に飛躍を求め、自らのやることを掴んでいくことを目指しています。
これまで民藝運動の柳宗悦先生もできなかった、地域に根ざした具体的な手仕事の存続と現代的な暮らしへの道を求めていく活動を、われわれでやっていきたいと思っています。
(記録:指出有子 編集・構成:大橋正芳 写真:大部優美) |