「黒」は、地元で採れる黒石を釉薬として使う。1600万年も前、この土地が海の底にあった時からあったであろうマンガンを多く含んだ石は、「黒」と一言では片づけられない、なんとも豊かな色合いを醸し出す。「白」は、釉薬に籾がらの灰を使う。灰というだけあって釉薬そのものの色は黒っぽい色をしている。が、焼くと温かみのある「白」に変わるから不思議。 もちろん原料の土も山すそで採れる地元のものを使っている。延興寺窯と名乗るからには、 なるべく地元のものを使わなくてはと言う山下さん。だから違和感のない、しっくりとくる器が出来るのだと納得させられる。器は料理などを盛りつけるもの。器が勝手に自己主張をしたり、ひとり歩きしたりしたのでは意味がない。山下さん親子は常にそのことを念頭において日々丁寧に器を作っている。
手仕事フォーラム 岡崎典子 |