今回の調査報告は富山県氷見市。石川県との県境に程近い山中の集落、三尾で作られている「お神酒口」についてです。
三尾周辺では以前より竹細工が盛んで、ソウケ(米あげザル)などの農具や炊事用のザルなどが作られ、冬の農閑期(10〜3月頃)には、ほとんどの家で何かしら竹細工が作られていたそうです。
現在は道路が整備されて三尾を訪れるのはかなり便利になっていますが、交通手段が限られていた頃は、特に冬場など他の町との行き来も非常に困難だったことでしょう。必然的に竹細工のような手仕事が冬場の仕事として定着し、おそらく貴重な現金収入となっていたのではないでしょうか。
しかし、他の地域の手仕事同様、今ではごく一部の高齢者の方が細々と作るのみとなり、年々その数が減っています。特に今回の調査対象であるお神酒口に関しては、この三尾周辺でも、ここに紹介する坂下夫妻だけが、近郊のお店から注文された分のみを作っています。
美しい手仕事の品が生まれる様子を多数の写真を交えてお伝え致します。坂下夫妻の熟練した技と、ほのぼのとしながらも見事な二人の連携ぶりをご覧下さい。 |