宮崎県高千穂 藁細工、切り絵 訪問地:宮崎県西臼杵郡高千穂町 2008.6.23

竹細工(カルイと呼ばれる背負いカゴ)調査の為に宮崎県高千穂町を訪れました。当初の目的である“カルイ”の製作者宅を訪れたのですが生憎不在のようで、困ったなと同行者の久野さんと思案していると、隣の住人であるご夫人が私達の気配を感じ取ったのか、出ていらっしゃり声を掛けてくれたました。『今はいないようだから帰ってくるまで、私の家でお茶でも飲んでいかないか・・』と親切にもご自宅に上げて頂けたのでした。そこで偶然の出会いがあったのです!これこそ実地調査の醍醐味というか・・。

お宅に上がってすぐに目に入ったのが、注連縄などの大振りで立派な造りの藁細工でした。何のことはない、そのご婦人が製作したものだったのです。目的のお宅のお隣で、別の手仕事の製作者に出会えるとは・・、偶然というか幸運でした。

言わずと知れたご当地は天岩戸伝説で知られる高千穂町。神事に使用する為の注連縄や、それだけではなく神楽の際の祭事場に飾れられる“切り絵”も製作するようで、実物を見せて頂きました。

これらの切り絵は“エリモ(彫り物)”と呼ばれ、モチーフは主に十二支や五穀豊穣に関係するもので(各集落で微妙に柄が違うそうですが)、色は赤地に白紙を切り抜いたものと決まっているようです。折角来たのだからと、私の干支である龍の切り絵を一枚頂きました。何かの機会に自宅で飾ってみようと思っています。


居間の天井近くに所狭しと貼られた切り絵。


作業場に案内して頂いたのですが、今は季節柄、作業はされていないとのことでした。


材料の藁は自家製。

こちらは藁を採取する為だけの田んぼ。実(稲穂)がなる前に刈り取るとのことで、1シーズンで 2度取ることが出来るそうです。実がなったものより、ならなかったものの方が細工の材料としては使い易いとのことでした。

手仕事フォーラム 鈴木修司