実測はまず高さから調査します。調査のいでたちは手には軍手、首にはタオルを巻き、メジャーと脚立をもって各部分の高さを計測して廻ります。時期はつゆ、天井にはむっとした熱気がこもって30分も経つとポロシャツが汗でべったりしてきます。さらにメジャーを当てるたびに長年積もり積もったススが顔に落ちてきます。横では久野さんが、前回の制作指導を基にひかれた見本を熱心に検分中で、白化粧された器がずらりと並んでいます。今回は形を見るため色付けをしないで試作品を作ってもらったそうです。合間に河原さんの奥様が出してくれたスイカとお茶で十分水分を補うことが出来ました。奥様心遣い有難うございます。休憩中、ふと目をこね板に向けると、板にロクロにかける前の土が形を整えられて置いてありました。この形、朝見た蔵王岳とシルエットが重なります。久野さんは猪俣さんに蔵王岳みたいじゃないと問いかけると、猪俣さんは「そうかな」と笑っています。
豊かな自然に囲まれた環境の中でこそ、仕事をしながらしゃれっ気を持つ心のゆとりが出来、心地よい緊張感の中でよい仕事が生まれるのだと感じました。午後6時位までかかり断面の情報を計測することが出来ました。
手仕事フォーラム 吉田芳人 |