下車した所からイヌマキの生垣が路地の両側に整えられ、まっすぐに奥の腕木門へと来客を誘導します。門前の階段部分に玉物の植え込みがあり路地巾が狭くなります。来客者はここで一度気持ちを整えなさいと家人が言っているような印象を受けました。腕木門は軒の出も長くどっしりと構えています。壁は矢羽張りの板壁と腰壁の下見板張りで造られ、漆喰塗りの壁ばかり見ている北陸の人間にとっては異国の風情を感じます。
九州では門から住宅の玄関が見えないようにアプローチを造るのが伝統的な家の造りであることは前回の川原さんの自宅でも見せてもらっていましたが、美山が朝鮮から渡来した陶工が作り上げた町だとすると目の前には朝鮮の面影を残した風景が広がっているのかもしれません。
手仕事フォーラム 吉田芳人 |