永倉さんの竹細工 訪問地:鹿児島県日置市吹上 2006.10.3

ようやく秋らしい景色が見え始めた10月8日、前日の龍門司窯から足を伸ばし桜島を横目に鹿児島県日置市吹上に向かいました。

吹上は以前、伊作城を中心として栄えた町で紙漉きが盛んに行われていた所です。伊作の紙漉き場は芹沢?介が1940年に訪ねた場所でもありその後、型絵染の「伊作の紙漉き」が制作されています。その風景には手漉き和紙の干場に竹林が広がっておりのどかな日本の風景が描かれています。


朝日を浴びる桜島を眺めながら

伊作の町並みと永倉竹細工店

塩テゴ(左)と十六メゴ(右)

今回は、趣は変わっていますがのどかな風景が残る伊作城下にある永倉竹細工店に伺いました。この地方では唐竹と呼ばれるマダケを用いて近隣の生活に根ざした竹細工を作っています。こちらの地域では巻き縁の伝承がされておらず殆どの製品があて縁による作りでした。小さなカゴを作る時は巻き縁にするため柔らかく粘りの強いキンチク竹を用いる場合があります。作られている物で特徴的だったのが塩テゴと呼ばれるニガリを採るためのものです。逆三角錐をしたその形に竹の表面と中の部分を使い分けて模様を作っており、縁にはつづらを使って止めています。これに塩を入れて桶などに載せて下に落ちるニガリを採るための道具です。昔はこの方法でとれたニガリを使って各家庭で豆腐が作られていました。しかし、現在では、そのままの用途で使われていることは稀で、花を生けたりと違った用途で親しまれています。その他、十六メゴと呼ばれる子供用の小振りなサイズの手つきの貝籠です。底の大きさが4寸×4寸のサイズであることからこのような名前がつけられています。

その他、大きな篭から小さな篭まで様々な物も作っていますが、こちらには日本三大砂丘の一つである吹上浜が近くにあることもありこのような海に関連する物を多く作っています。


久野さんが見本で渡した
伊集院で作られたくずかご


魚籠

和やかな雰囲気で製品に付いて話し合う永倉さんと久野さん

吹上浜からの景色はとても良く自然が多く残っていることが確認できます。美しい自然、景色と共にこのような健康的な編組品も残っていってほしいと思います。

手仕事フォーラム 副島秀雄


永倉義夫さんと大バラ


吹上浜から見た景色