今帰仁村にある工房へ入ると、ちょうど糸の“巻取り”をしているところでした。クシで丁寧に解かしながら糸に蝋を塗る……蝋燭を横にして、巻き取る芭蕉の糸に蝋を擦り付けていたのです。「なるほど……」。これで滑りも良くなりクシ通りもスムーズになるわけです。私の疑問が解けました。
工房には経糸が掛かった織りかけの機があり、工房裏の畑には、芭蕉の葉っぱが大きく茂っていました。しかし、今は糸作りも半分にしているとか……なかなか売れないからだそうです。それでも、糸を作っている人に仕事をして頂くために、精いっぱい頑張っているそうです。全ての工程のお話を伺えたわけではありませんが、一つ一つが経験と鍛錬を必要とする実に大変な作業だと感じました。こうした仕事を続けるために、様々な生活の仕事が簡単になった今、私には想像もできないような苦労があったことと思います。私自身ももっと勉強して、この生きた手仕事について、その意味や歴史などを含めて少しでも多くのことを伝えていきたいと強く感じました。
手仕事フォーラム 横山てる美
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