5年前、私はこの窯の二彩点打湯呑と出会い、作り手と逢う日を夢見てきた。大げさに思われるかも知れないが、それほど力強く、存在感を感じさせる作品であった。
今年二月、念願叶い窯出しに立ち合う機会に恵まれた。生憎の雨の中、窯から出されたやちむんたちは無造作に土の上に置かれ、雨に打たれていた。こんな荒っぽい窯出しにも照屋さんの人柄がうかがえる。気負わず、威張らず、ありのままの温かさが作品にも顕れている。 他の作り手と何が違うと聞かれても、技法や焼成法が他の製作者とそれほど違うとは思えない。ただ「土から生まれ土に還る」焼物も人も同じである。そんな作り手のメッセージが伝わる。沖縄にはまだこんなすばらしい作り手がいるのだ。
手仕事フォーラム 横山てる美
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