どんぶり会館 訪問地:岐阜県土岐市 2004.5.16

 美味しいものを食べる瞬間は幸せを感じます。それがまた、美しい器に盛り付けられているとなると一層のことです。
 土岐市の駄知町は昔から美濃焼の産地であり、近隣の下石町とならべて「駄知のどんぶり、下石のとっくり」と言われる程どんぶり作りが有名な町でした。美味しい丼ものを美しい「どんぶり」に盛り付けて食べることができたら……と思いつつ訪れたのがどんぶり会館。それはどんぶりのようなUFOのような外観の建物で、その中には美濃焼窯元直販の品が様々に並んでいます。ただ、見たところどんぶりの数は少ないようでした。

どんぶり会館で見つけた形の美しい器
 フォーラムの久野と会館内を歩き回り、そこで見つけた数点のどんぶりについていくつかのことを教えてもらいました。その一つは、絵付けの筆の動きが早く細かいものについて、このような仕事が今も残っているということは素晴らしいことであるけれども、無くなるのは時間の問題だ、ということでした。それから、ものとしては取り上げるほどのものは無いが形の美しいものは5点程あるということで、それを他の窯元への見本として購入するにしました。
 どんぶり、どんぶり、と浮かれた気持ちでいたのですが、絵付けの細かさに驚き、形の美しさに感嘆し、それから数多くのものの中から良いものを見つけ出すことの面白さを経験しながらも、どうじに、見つけ出した後には「消え行く仕事」という感じが漂って、フォーラムの活動として何をするべきかを考えさせられるのでした。
 どんぶり会館で購入した見本が他の窯元でどのような品になっていくか、今後の楽しみになっているのです。

手仕事フォーラム 武井治美