Kuno×Kunoの手仕事良品

昔の物 今の物(13) 2007.06.04

木の作品をご紹介します。

下の二枚の写真は、いずれも木製の飾り台です。幅が約40センチあります。飾り台としては小振りで、現代の家庭でも、使うのに丁度良い大きさです。いずれも明治頃の物ではないかと思います。

この飾り台は、欅の厚板に太めの足を付け、下方に角棒を渡してあります。塗りはまったくなく、年月を経た欅のつやが出ています。

この飾り台は脂松の厚板に、同じく太めの足を付け、横木を渡していますが、上の作品と異なり、前面の羽目板部分が、引き出しになっています。塗りは全くなく、木から今でも出てくる松ヤニで飴色になっています。

この2作品を見ると、木工の基本が直角にあることを今更ながらに教えられる思いがします。厚板と直角の組み合わせのみで、いつまでも飽きのこない、どっしりとした落ち着いた作品となっています。また、小手先の技巧は全くありませんが、この2作品には足の付け方等、作者の確かな腕前があって、初めて生まれた作品ではないかと思います。そして、おそらく、生まれた時より、使い込まれた今のほうが、より魅力的な作品となっていると思われます。奇を衒わずに、確かな技術に裏打ちされ、愛着を持って使えば使うほど味のある品物が、今後も作られることを願ってやみません。

 

手仕事フォーラム 横山正夫