Kuno×Kunoの手仕事良品

昔の物 今の物(15)2007.08.03

竈面をご紹介します。

縦の長さが一尺以上もある木彫りのお面です。

有史以来、人類にとって、火と水は、その生存にとって欠くことの出来ない物として、崇められ、大切にされてきました。これらを表す神や祭りごとも日本のみならず世界各国に存在します。また、それぞれの家の中にも、お札を貼ったりと、現在までこの風習は続いています。

ここに、ご紹介する竈面もその風習の一つで、昔、北上地方(宮城県北部から岩手県南部)で、火災や病気などの進入を防ぐ、家の守り神として作られた物です。茅葺き屋根の家の中で、いろりと水屋の間の柱に掛けられ、火と水に睨みをきかせ、火災、悪疫の進入を防いでいました。

この面は、専門の工人が作る物ではなく、おそらく近在の大工等手先の器用な人が頼まれて、作っていた物ではないかと思います。そのため、一つ一つ作行きも表情も違います。但し、その目的からして、いずれも、こわい顔つきとなるのは、やむを得ません。

現在は、この竈面の風習は途絶えてしまったと思われますが、民俗学的にも、また民衆の工芸と言う意味でも興味深い物であると思いご紹介させて頂きました。

 

手仕事フォーラム 横山正夫