Kuno×Kunoの手仕事良品

昔の物 今の物(26) 2008.09.21

民芸の作家について

 

昔の物、今の物のご紹介から少し離れますが、民芸の作家の物をご紹介します。

手仕事によって、生み出された品物には、昔からの長年に渡る制作によって、使いやすい大きさ、形に収斂され、現代に伝えられている物が沢山あります。蕎麦猪口、椀類、また荒物類もそうでしょう。これらの品物は安定感があり、使用しても、また飾っても違和感なく生活にとけこみます。

しかし、それなら、現代の手仕事は昔の物をコピーして、出来る限り昔の物に近づけて制作した物が最も良い物と言うことになるのでしょうか。しかし、そうではないことを皆さんは知っています。時代は常に代わり、生活様式も変わって行きます。また、人間は創造する生き物です。その時代に合った美しい物は常に生み出されてくるものだと思います。

濱田庄司の食器類を以前にご紹介しましたが、民芸の作家が目指す物は、この現代の生活に合った美しい品物を生み出す事であると思います。そして、作品を通して、民窯の製品にも指導的役割を果たすことが期待されているのではないかと思います。ただし、現代の民芸の作家がこの様な意識を持っているかは、私には分かりません。

ここでは、民芸の作家として、独創的な仕事をした一人の作家をご紹介します。

下の写真2枚は湯飲みとミルクピッチャーです。

材料は特殊な物はなにも使っていませんが、この作家の個性が表れ、しかも形の美しさ、そして安定感があります。

もう一点はスープ皿です。外側を無釉薬とし、内側だけに釉薬を施してあります。現代生活にマッチしたモダンな製品です。

この作家も作家として、食器以外にも優れた独自の作品を作っています。以下に、その一部をご紹介します。

角皿以外の作品は紋押の大鉢です。作者の身体状況から生み出されたと言う事情もあると思いますが、それにしても現在の民芸作家にはない力強さ、存在感を感じるのは私だけでしょうか。

 

手仕事フォーラム 横山正夫