プレス掲載

2003年12月20日発行 金澤 KANAZAWA STYLE 1・2月号掲載

日常に潤いを与える手仕事の品を全国に伝え歩く、新たな民藝運動。

 河内村のこつら細工、鶴来町の皮とり包丁、輪島のまり椀。精緻で煌びやかな工芸品に恵まれる石川県にも、生活に根ざした伝統の手仕事が残る。これらをはじめ、全国に息づく手仕事千二百点を一堂に集めた「手技の美 日本の手仕事」展が『香林坊大和』で開催。主催者である「地域手仕事研究所」久野恵一さんは、無名ながらも質の高い手仕事を発掘し集め、広く普及させることを目的に全国を飛び回る。
 安価な工業製品が浸透するにつれ、織物、木工品、陶磁器、和紙など各地域の資源を素材にした手仕事が衰退し、後継者が不足。久野さんは、手仕事に携わる人や関心の強い人を集め、本物の手仕事を守り育てるために『手仕事フォーラム』を結成。「長い歴史の中で培われた技を継承するために、現代生活に取り入れる提案をしていかねば」と氏は語る。
 生活に潤いをもたらす手仕事の逸品。
 今こそ見直される時ではなかろうか。
 北陸近県の手仕事を特設展示。 「加賀には、古くから北前船や鉄道などの交易ルートが確立されていたので、豊かな文化が築かれていた。だあら、人の知恵から生まれた暮らしの道具は、山間部など、断片的にしか残っていないようです。」と久野さんは分析する。
金沢スタイル  金沢での開催は4回目。自ら生産地に顔を出して、集めた民芸品が並ぶ。実際手にとれば、心のこもった素晴らしい仕事を直に感じ取ることができる。
 全国的に絶大な人気を集める、倉敷ガラスは小谷真三さんの作品。一つ一つ口吹きでつくりあげるガラスの手触りに、温もりが感じられる。