プレス掲載

2004年2月20日 中日新聞(岐阜・近郊版)掲載

街のうた 伝えたい手仕事の趣 横山てる美さん(笠松)

 笠松町江川、横山てる美さん(39)が経営する「風遊(ふうゆう)」は、失われつつある職人の手仕事を紹介する店だ。横山さん自ら手がけた織物のほか、職人が仕上げた陶器など全国の民芸品を販売している。「手仕事の品を取り入れて、潤いのある生活を」ム。そんな思いを、横山さんは込めている。(加藤隆士) 店には、横山さんが織り込んだショールやバッグなどのほか、大分県などの産地から取り寄せた「民陶」と呼ばれる陶器なども並ぶ、どれも、自然を素材にした手仕事の品。その奥には、大きな織り機や、糸を紡ぐ糸車がある。横山さんが織物をするときの道具だ。 「もうけは度外視。手仕事の伝統を残すことに、少しでも貢献できればいい」と、横山さんは話す。 横山さんが手仕事に魅せられたのは約十五年前。好きな布を洋服に仕立ててくれる店に出会い、「職人が淡々と注ぎ込む力と手間に、感動した」。さらに、七年ほど前に織り機を買って、自ら織物も始めた。 各地の職人の手仕事を見て回るうちに、産地の現状を知った。大量生産によるモノに押され、深刻な後継者不足のため、手仕事が失われつつあった。 「作家の作品を見る機会はあっても、手仕事の品を見る機会は少ない。なんとか多くの人に、全国各地の手仕事を見てもらいたかった」 一年ほど前、自宅を増築した際に風遊を開いた。吸水性を身につけて心地良い衣類、使うほどに味わいが出る陶器ム。自ら織物をしながら、訪れる客には手仕事の良さを語り続けている。 今後の課題は「もっと手仕事への認知度を上げていくこと」。職人に負けないぐらい手仕事への熱い思いを抱いている。