プレス掲載

湘南スタイル的100の鎌倉

 

全国の手仕事良品がそろう民藝店。
もやい工藝

 

巷のメディアでは、安易に「手仕事」の冠をつけた物が紹介されている。それらの中には、嫌らしい土産品や、作家の我が出過ぎている物、低い品質の物など偽物を含んでいることがある。本来の手仕事とは、美しい自然と人とのつながり、そして地域社会の歴史と風土が生んだ伝統的な技術により生まれてきた。良い手仕事の品は、熟達した手技によって、親切に堅牢に作られ、簡潔な美しさが備わっている。それは使い続けることで、更に美しさが増していく。もやい工藝では、今もなお日本各地で作られるこのような優れた手仕事を求めて、歩き、選び、それを紹介し、普及させていくことを信条としている。扱う品は、大分県小鹿田や沖縄をはじめ各地の陶磁器、沖縄と倉敷の吹きガラス、編粗品(竹、蔓、草、樹皮などで編んだカゴやザル)、、木漆工品、金工、和紙、木工家具、染織品(海外からの品も)など。そのほとんどが、店主の久野恵一さんが30年以上に及んで全国を飛び回り、地域を調査しながら発掘してきたものだ。優れた技術を持つ、作り手にも数多く出会え、時には酒をくみ交わして親交を深めてきた。しかし、その過程では、手仕事の美しい品々が消えていく現状にも直面した。現代のライフスタイルに合いにくくなったという理由で捨て去られようとしているのだ。そこで久野さんは次世代に手仕事の良品を継ぐべく、作り手にアドバイスをして、モダンな暮らしにもフィットするようデザインを改良したものをオーダー。更に、すでに消失してしまったものも新たな作り手を見つけて復刻すると行った活動を地道におこなっている。久野さんが推奨する良品は、もやい工藝店内で手に取れる他、彼が主宰し、さまざまな職業と年齢層のメンバーによって運営する「手仕事フォーラム」の会報誌「SILTA(シルタ)」やホームページ(http://teshigoto.jp)で閲覧可能だ。